桜田 充郎(S35,1T)
昭和30年2月,札幌オペラ研究会による『カバレリア ルスチカーナ』が上演された。会のリーダーは教育学部の山本火露士先生,現在のクラーク会館の所にあった中央講堂のオンボロピアノがある一室で,石炭ストーブを焚きながらの練習だった。高校の合唱部に入っていた私もその他大勢の中に加わり,北大合唱団からも,清水さん(S32卒,2T)をはじめ数名のメンバーが参加していた。
翌年の4月,何とか入学できた私は,正門前の木造建物の2階にあった合唱団室を訪れた。「やあ,君か。とにかく声を出してごらん」当時指揮者をやっていたのが清水さん,早速足踏オルガンで入団テスト。「1Tだよ」,こうしてそれ以来30年も経っている。
卒業してからはOB会に入り,それぞれの団員は,会社に官庁に先生にお医者さんにと,別々の道を歩んでいる。しかし,何年も過ぎても練習に集まると学生時代の仲間に戻り,指揮者に叱られ,カラオケならもっとうまく歌えるのにと思いながら,出ない声を張り上げている。
(第3回OB演奏会プログラムより転載)